竹は、加工すると素晴らしい製品になる一方で、「森のギャング」とも言われ、竹林を放置したままにしていると地下茎がはびこり、里山の美しい風景を荒らしてしまう原因にもなります。
ですから、竹製品づくりを生業にするものの責任として、材料工場や木こりさんと密な連携を取って、竹林を適切に伐採・加工していただけるように配慮すべきだと考えています。
竹は木と違い市場がないため、材料の供給は材料工場および木こりさんたちに依存しています。 そう考えると、これらの方々とのお付き合いは本当に大切にしなければなりません。
竹林を放置せずに適切に伐採することで、美しい風景が守られます
木こりさん、材料工場さんたちのお陰で私たちがあります
具体的に私たちに出来ることとしては、竹という、部位ごとに性質の違う素材の全ての部位を、隅々まで無駄なく利用して製品作りを行うこと。 (こちらの事情で特定の部位ばかり使っていると、材料工場さんには使われなかった部位の在庫がたまってしまいます)
自分だけが良ければいいという考えでは、物事は長続きしません。
南九州の自然からの恵みをいただいて製品を作っているのですから、まずはその自然に感謝し、美しい風景を守り続けることを第一に考えたい。
そして、関わる方全てが笑顔になれるように配慮して、皆が末長く幸せであれるような、サステイナブル(持続的)なあり方を追求していきたいと考えています。
材料工場さんで乾燥中の竹
「竹という素材の全ての部位を、余すところなく使い切りたい!」 そんな想いで竹製品作りを続けてきた私たちの製品数は、今では1000種類にものぼります。
私たちがそれらの一つ一つの製品作りを行う時に、意識することは大きく分けて3つあります。
何はともあれ、まずは安全に作業できることが第一。
プロとして、いかに短い時間で効率的に成果を上げることができるか・・・。 作る過程をよく精査し、工夫することで、驚くほど効率が上がることもあります。
形やクセが一定ではない竹という素材を使った製品作りで、バラつきなく高い品質を保ち続けることも、職人が意識すべき大切なポイントです。
昇降盤による切断。作業効率を上げることもプロとして大切なこと
曲げ作業。一つ一つ、形もクセも違う竹という素材を、いかに扱うかが腕の見せどころ
ラジアルソーによる溝入れ。0.1mmにこだわります
蜜ロウによる仕上げ。一つ一つ丁寧に
これらを実現するうえで大事になってくるのが、一つ一つの製品を生み出すための「機械」と「治具(じぐ)」。
さまざまな製品の種類に応じて、製造のための「機械」が必要となりますが、専用の機械を開発から行うこともあり、一つ一つの機械を発注する際は、どうしたらより良い製品作りが可能になるか、じっくりと検討するようにしています。
「治具」とは、 製品作りの際、安全かつ正確に作業ができるようにするための道具のこと。 良い製品を効率よく作っていくためには、この治具の出来が非常に大切になってきます。 関わる皆で意見を出し合いながら、この治具の精度を高め、より良い方法を探して改良を心がけています。
壁にかかっているのが製品作りに欠かせない「治具」
ペーパーによる型取り。小ロットの商品は木の「治具」で
ボール盤による穴あけ。「治具」の出来が製品づくりを左右します
私たちの作る竹製品には、カトラリーやテーブルウェアなど、直接口に触れるものや食品を容れるものが多数ありますので、安全性には可能な限りこだわりたいと考えています。
そのために、全ての製品に、食品衛生法に適合する塗料を使用しています。 また、全商品を対象にPL(製造物責任法)保険に加入しております。
私たちの商品は一般消費者向けのものから店舗やホテルなどの業務用製品まで多彩ですが、皆さまが「安心・安全に使用できること」を大切にしています。
塗装作業は専用の塗装ブースにて行います
そして、私たちのもう一つの「安全性へのこだわり」は、工場内の粉じん対策。
竹製品づくりの過程ではどうしても微細な粉じんが発生しますが、職人たちがなるべく吸い込んでしまうことのないように、作業を行う機械の上に粉じんを吸引するダクトを設けて、集めた粉じんを800℃以上の高温で焼却できる設備を整えています。
この集じん・焼却システムは、厚生労働省より「快適職場推進事業場」の認定を受けています。
各機械から延びるダクトを通った微細な竹くずは最終的に一箇所にまとめられ、高温で焼却されます
粉じんを逃さず捉え、高温で処理できる焼却炉
厚生労働省より「快適職場推進事業場」の認定を受けています